H×W&D

2009

檜、針葉樹合板

2000×2100×250

 「物質世界」と「精神世界」という二つの世界を分つ「境界線」を人の顔の表層を追うことで表現した。周りから朽ちてゆく表現は、境界の存在を形として表そうとしながらも、二つの世界から距離をつめ合うことで失われてゆく境界の線引き不可能なジレンマの作業を痕跡として残した。

 マスクの後ろの板には針葉樹合板を使っている。合板という素材は木を外側からロール紙の様に剥いでいって出来たモノを板状に再び重ね合わせる事で作ったもので、もともと波紋状に時系列でひろがる年輪を、縦軸に再構成し、木の年輪の刻む時間軸を恣意的に並び変えた素材である。その在り方は時間の観念も無効とする精神世界の層を表す。一番上の層に人の表面を模した一木で作った層を重ねた。